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年金をはじめとした日本の社会保障が国の公費に依存しているという問題について

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Royal Welsh Show 2011 / Sioe Frenhinol Cymru 2011Royal Welsh Show 2011 / Sioe Frenhinol Cymru 2011 / National Assembly For Wales / Cynulliad Cymru

 

社会保障の財源について

現役層からの保険料で成り立っている年金制度ですが、実は、もう1つ年金制度を支える大きな資金源があります。それがタイトルにある、公費、税金で徴収をされた国の財源ということになります。

つまり、制度存続の危機が叫ばれている国民年金、厚生年金等の公的年金というのは、実のところ、国からの支援があるからこそ、どうにか成り立っている制度なのです。もし、この財政的な補助がなければ、公的年金の積立金は今よりずっと目減りして、ずっと危機的な状況であることが認識されていたことでしょう。

一例として、基礎年金(国民年金)における「国庫負担」(公費の一例)があります。平成21(2009)年にそれまでの保険料3分の2・国庫負担3分の1から、保険料2分の1・国庫負担2分の1にする案が法案として可決されています。国民年金は未納問題が取り沙汰されてもいますし、保険料だけでは支払いきれなかったために、このような措置がなされたわけです。これの意味するところは、結局のところ、私たちの負担が増えることにほかなりません。この公費というのも、その多くは私たちの税金から拠出されているのです。本来現役世代の負担のみで、引退世代を養うことを目標としている社会保険は、もはや機能していないと言えるのではないでしょうか。

 

公費依存のはじまりについて

さて、上記のように現状の社会保障は大きな問題を抱えているわけですが、このようなはいつ頃からそうであったかということについて考えてみます。まず、1961年の国民年金創設時がもっとも代表的な時期です。その頃には既にサラリーマン向けの厚生年金と公務員向けの共済年金は制度としてスタートをしていました。そのような中で農林水産業や自営業の人たちの、社会保障が整っていないことが問題視されていたのです。

不完全な形による制度の開始

世論に答える形で、国は国民年金の導入を決めるわけですが、残念ながら自営業の方たちには、制度を支えるに値する十分な保険料納付が期待できる状況ではありませんでした。そこで、国としては、ある意味自腹を切る形で、公費を大々的に投入し、国民年金をスタートさせることにしました。こうして、今の日本では当たり前になっている、「国民皆保険(皆年金)」という題目が成立するようになったのですが、実のところスタートの時点で既に制度としては不安要素を抱えていたのです。

 

メリットとデメリット

もちろん、このような公費投入による効果というのもありました。高度成長期という時代において、保険が完備されているという安心感が国民の心を鼓舞したという一面もあるでしょうし、また公費を投じられている産業というのは、基本的に保護される傾向がありますので、それゆえに急速な拡大に拍車がかけられ、国民全体にサービスが行き渡りやすくなったという面もあります。高度成長の中で需要が大きく伸びている状態では、このように量的拡大を重視する施策がとられることには、一定の役割があったとも思えます。

大々的な公費依存による問題点

しかしながら、それ以上に負の側面というのも多くありました。その1つが価格統制です。医療や介護の分野においては、サービス料金が国によって決められています。このことが社会保障の問題を生み出す温床にもなっています。このことがサービスの室の低下や、働く人のモチベーション、また施設の経営に与える影響力というのは決して軽く見られるものではありません。特に介護業界においては、このことによる悪影響が顕著に出ているといっていいのではないでしょうか。

もう1つの問題が参入規制です。これも介護業界において、顕著に見られることですが、いわゆる介護保険施設と言われる、特別養護老人ホーム老人保健施設のような国の施設は、事業者が限定をされています。社会福祉法人等であれば設立はできるのですが、株式会社では設立ができないことになっているのです。このことは健全な競争を生みにくい社会やコミュニティを生み出す結果となっています。彼らが言うにはそういった株式会社は要は金儲けが目的で、また素人には十分なサービス提供が難しいというようなことのようですが、果たして本当に全てがそうなのでしょうか。そういった考えでは、現状多くの問題を抱える医療や介護を救うかもしれない、価値ある存在すらも排除してしまうことにはならないでしょうか。

そうした考えを表明する、最も代表的なのが、いわゆる既得権益と言われるようなもので、日本の医療、介護、保育、福祉の各分野で、業界団体というものが生み出されています。これらの団体は悪い意味での結束をして、新規の参入者を拒み、自分たちが得をする状況をつくりだそうという動きが少なくありません。それは結果として、上記のように国民にとっての不利益に結びつく可能性が大いにあると考えています。

 

さらなる問題の要因になっている公費依存

また、他にも問題はあります。公費に依存する社会保障は、既得権益の形成を促進することになり、国民にとってもマイナスになることが少くありません。その一つが、年金における世代間格差です。今の高齢者が受け取る年金というのは自分たちが払った額より約3000万円ほど多いと言われており、現役と比較をすると約5000万円以上多くもらえるというのです。言ってしまえば、これもひとつの既得権益です。高齢者からすれば、頑張って働いた自分たちが、それだけの年金をもらえるのが当たり前といった考えもあるでしょう。確かに、それは一面では正しいと思いますが、同時にそこには「今の状況」についての配慮、検討がなされていないことが少くありません。これが、世代間不公平というコトに加え、もっとダイレクトに日本における格差を生み出す一因にもなってしまっていると言えます。

 

このように、公費依存はかつては効果のある施策でしたが、今では非常に多くの不利益をもたらしてしまっています。日本の社会保障を健全なものにするには、この財源問題について、早急に解決する必要があると言えるでしょう。お読み頂き、ありがとうございました。

 

 

年金の財政関係についてはニュースでも時折大きく取り上げられますので、関心の高い人も多いはずです。色々とややこしい部分ではありますが、学んでおけば問題についてより深く理解することもできます。ぜひ、下記リンクをご参照ください。

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