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年金の受給年齢の引き上げに備えるために

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Social Investment Fund Consultation LaunchSocial Investment Fund Consultation Launch / Sinn Féin

 

受給年齢の変遷

年金の受給年齢というのはもともとは、なんと55歳でした。これはずいぶん昔昭和17年の話です。それが戦後の昭和29年(1954年)に男性60歳へと引き上げられました。それが昭和60年になると男性は順次65歳へと、女性も60歳からの支給となり、さらに、平成6年、平成12年の改正も経て、今のように男女とも65歳が目安となりました。

このように社会の現実に合わせて年金をもらえる年齢というのは徐々に引き上げられてきました。理由としては平均寿命が伸びや少子高齢化による影響が大きく、仕方のない面もあるとは思います。しかしながら、これ以上繰り下げられるのは、払ってきた人間としては受け入れられないのもうなづけます。

そんな中、2011年には当時の菅内閣の与謝野大臣からは、さらなる引き上げを匂わせる発言もありました。世論の反発のためにこの言葉は撤回という形になりましたが、しかし、これは現実に有り得る話で、検討もされているということなのだと思います。

さらなる引き上げの決定

2013年の6月3日下記のようなニュースが報じられました。

 朝日新聞デジタル 6月3日(月)22時58分配信

年金受給年齢「早く引き上げを」 社会保障国民会議会長

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130603-00000044-asahi-pol

内容としては、タイトルのとおりなのですが、政府の社会保障国民会議(※)の年金の会議において、年金受給の開始年齢を67〜68歳くらいに上げるべきだという議論がされたということのようです。もともと、このことは既に懸念されていたことではありましたが、とうとう現実に動き始めてしまったことを告げるニュースであるように思います。

懸念と問題

上記のニュースにありますように、現状の65歳から、さらに上、67や68歳まで引き上げることが検討されているそうです。なかには、70歳にすべきだという声もあるようです。70歳といえば、もう立派な老人です。この時期からようやく年金がもらえると聞いても、前述したような感情的な反発もあるでしょうし、仕事をやめたあとの約10年ないしは5年ほどの間、どのように生計をたてるかという経済的な面でも多くの問題がありそうです。

 

深刻化する年金財源の不足

しかしながら、こういった声が出るのも、それほどまでに現在の年金財政は逼迫してしまっているということの表れでしょう。これで実際に引き上げられることになれば、現役世代と今の高齢者との、年金の格差というものは更に広がることになり、これは若者の意欲を挫く結果を招きかねないのではないかと思います。

実際、ネット上では既に悲観的な内容がずいぶん多く見受けられます。また、さらに問題として上がるであろうことは、先ほども書きましたが年金受給開始までの空白期間についてです。定年が延長されたことで解決されたかのような流れになっていましたが、引き上げとなると、またこの問題も再燃することになります。もちろん、現状の年金財政を考えれば、上記のように引き上げが検討されることは自然な流れなのかもしれませんが、これはまた多くの問題を生む原因になりかねないことでもあり、政府の社会保障国民会議においては、十分に慎重な議論をしていただくことが望まれていると言っていいでしょう。

引き上げの理由

諸外国の状況

先述しましたが、改めて引き上げの理由を考えてみます。

ちなみに、このニュースの中で諸外国の受給年齢はもっと高いので、日本もそれに合わせるべきというような言葉があります。確かに米国は既に66歳からで、英国でも68歳への引き上げがきまっており、またフランスやドイツでも67歳からということが決まっています。各国でこのようなことが起きているのは、日本と同様に年金財政のこともありますし、また平均寿命が延びているということも背景にはあるのでしょう。平均寿命が伸びると、それだけ年金の受給額は増え、つまり国としては多くを支払わなければならないわけですから、そのぶん受給額を引き上げなければならないというのは致し方ないことなのかもしれません。

ただ、これを国会主導でどんどん決められることについては、個人的には嫌な思いがあります。議員さんであれば、年収1000万くらいはあるのでしょうか。それだけあれば、収入に多少の空白期間があろうとも、受給が遅れようとも、現役時代にお金を蓄えるなり、それらを投資に回すなりすれば、バラ色の老後が待っているのかもしれません。しかしながら、実際にはそんな人々は本当にごく一部であり、貯蓄がままならない人だっているわけです。そういったことを知っているのか知らないのか、諸外国の受給年齢がどうとか、年金財政がどうとか、そういった国の都合だけで、制度を決められようとしていることには忸怩たる思いがあります。

世界の年金事情を見る

ただし、実はこの年齢というのは、世界的にみると、早く年金を受けられる国のひとつになれるような数字です。もちろん日本より早くもらえる国もありますが、米国は66歳から、英国も68歳への引き上げが決まり、フランスでも67歳への引き上げが2010年に改革法案として提出をされています。さらにもっと上で言えば、デンマークやイタリアなどはなんと69歳に引き上げられています。このように、日本より平均寿命が短くても、年金財政が逼迫しているゆえに、年金受給開始年齢を引き上げている国が多いということがわかります。だから、日本の人は気楽に考えていいというわけでもありません。ただひとつ言えるのは、このように平均年齢の上昇や、そのためによる年金財政の逼迫という問題は、どの国でも起きているということです。

こうなった時に考えなければならないのは、単純かもしれませんが、1人ひとりが、「60歳まで個人として自立をして、老後資金を積み立て、計画的に増やしていく」というプランです。それが個々人で準備できているかどうかが、老後を豊かにできるかどうかの分かれ道になるといってもいいでしょう。もちろん、国に頼るところは頼りつつ、それでも確実に個人個人が意識を高めることを求められるのが今の時代なのだと思います。

 

 

歳をとっても働かなければならない現実

これに関連して起きている事象が、「65歳定年」という内容です。60歳であったはずの定年がのび、希望者全員を65歳まで雇用することを義務付けた「改正高年齢者雇用安定法」が2013年の4月から施行されることになりました。

現状の状態を見ると、60歳以上で働いている就業者の数は2012年平均で前年比17万人増の1192万人と推定されています。その全就業者に占める割合は19.0%に達し、ほぼ5人に1人が60歳以上の労働者ということになります。さらに、問題なのは、こうなることで若者も雇用促進が生まれにくくなってしまっているという点です。これは別の話ではありますが、定年が延長されることで、悪影響を及ぼしている面というのも確実にあると考えられます。

 

事態を招いている原因

とは言っても、老後のことを考えるとやむを得ないというのもそれは確かなことで、もはやそうまでしないと、老後の安心は得られないという状況にまで来ているということなのかもしれません。年金の受給年齢が上がったことで、働く年数を増やすことで、どうにか老後の費用を捻出しなければならないということです。この数字や状況だけを見ると、もはや高齢の方も、若者も追い詰められてしまっているように見えます。

このように、定年、年金受給年齢の引き上げが起こった背景にあるのは、平均寿命が伸びたことです。寿命が伸びればそのぶん、年金を受け取る期間が長くなってしまうわけですから、年金として支払われる費用も多大なものになります。1965年生まれの人が平均的に14年4ヶ月程度の受給期間であったのが、1995年生まれだと16年3ヶ月と、2年近く長くなると想定されているそうです。それゆえに、財政的な懸念が生じたことで、先の受給開始年齢の引き上げや、定年の引き上げが行われているということです。人の寿命が伸びるというのはもちろん素晴らしいことではありますが、当然それに伴う問題というのはあって、それが今顕在化してしまっているということだと思います。

 

実態を考慮した上での政策決定を

もう1点、このような議論において、個人的に非常に違和感を持つのは、その分高齢者の定年を延長するから、受給年齢を引き上げても大丈夫というような言い方です。確かに、寿命が伸び多分、高齢者に長く働いてもらうのは合理的なようであり、また財政的にも制度維持において非常に重要にはなるのでしょう。ただ、やはり納得をできないのは、それを理由に引き上げますということを後押しするかのような、話がある点です。その中には、まるで長く働くことを強制させるかのような響きが感じられます。

働き方に対する価値観は人それぞれ

当然、人の価値観は様々であって、老後になってまで働きたくないという人も少なからずいるはずです。そういう人間からすれば、この受給年齢引き上げというのは迷惑以外の何者でもなく、これまで自分が払ってきたお金がきちんと返ってこないということについては、腹立ちすら覚えるところがあります。そういった人間がいることを無視して、受給年齢を引き上げるということが決まってしまうのは、やはり許せません。もちろん、繰上げで早くもらうこともできるわけですが、結局それでももらえる額は減るわけで、そこに対しての不満が変わるわけではありません。

社会保障国民会議という高い位置から、また彼らのようなある意味エリートからすればわからない部分があるのかもしれませんが、ぜひもっと日本の高齢者の現状に目を向けた上で、政策を決めていただきたいなと思います。果たして、今後、実際に受給年齢が引き上げられることになるのかどうか、このことは目が離せません。当ブログでも引き続き、ご紹介できればと思います。お読み頂き、ありがとうございました(^^)

 

※ 自民党公明党民主党の3党が内閣に設置した協議機関のことです。定員は20人で国会議員も委員になることができます。現時点では有識者15人が選ばれた。2012年の11月末に設置をされ、2013年の8月が設置期限とされています。

 

 

お読みいただき、ありがとうございました(^^)当ブログでは、他にも年金で現状問題視されていることを多く取り扱っています。これらを知ることは、年金を深く理解する上でとても大事なことです。下記にリンクを掲載していますので、ぜひともご覧になってみてください。

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