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7 サラリーマンの専業主婦の3号制度について考える

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SAKURAKO - My wife make bubbles.SAKURAKO - My wife make bubbles. / MIKI Yoshihito (´・ω・)

 

問題の概要

年金の公平性を考える際に必ずあがってくる問題のひとつがこの「3号制度」についての問題です。一言で言うならば、この制度は「会社員の妻であれば、保険料を払わなくても老後に基礎年金をもらえる」という内容です。3号の対象者は、配偶者が厚生年金や共済年金の加入者で、本人の年収が130万円未満の人という決まりになっています。2011年で全国に約1000万人いて、99%が女性です。

 

3号制度への不満

このことに異を唱える方というのはまず「自営業者の妻」です。なぜかというと、自営業者の奥さんというのは、例え専業主婦であっても国民年金を支払わなければなりません。そうでないと、老後に年金をもらうことができないのです。なぜ、サラリーマンの妻であれば払わなくてももらえて、自営業だとダメなのか、この不公平がまず最初に上がります。

次に考えられるのは共働きの女性です。こちらも働いていれば厚生年金に入っているわけですから、そこで保険料を支払っているわけです。自分は働いてお金を稼いでいるのに、なぜ専業主婦だと働かなくても年金をもらえてしまうのか、その点に不満を持つのもしごく当然だと言えるでしょう。

このような現状に対し、「なぜ、国がこのように専業主婦を優遇するのか」「年金を盗まれているかのようだ」というような不満が出るわけですが、主婦側としては「夫のサポートをして、夫が給与から保険料を払っているわけだから、もうら権利がある」というようになります。これは双方どちらが悪いというわけではなく、制度上の問題なのですが、それだけに双方が納得するような形で早急に解決する必要のあると言える問題です。

 

3号制度の成り立ち

3号制度ができたのは1985年の年金改革でした。当時の厚生年金は世帯単位の考え方をとっており、会社員の妻である場合は、「入りたければ国民年金に入れば良い」というような状況でした。しかしながら、この決まりであると、仮に夫婦が離婚をすると、妻が国民年金に加入をしていなければ、将来年金をもらうことができなくなってしまいます。これは良くないということで、夫が受け取るはずの年金の一部を、基礎年金という形で妻にも分配するようにしたのです。必要性のもとで開始をされたこの制度ですが、個人の自立が重視されるようになっている現代においては、必ずしも今の常識にあっている制度とは言いがたくなっています。

 

解決への道

それでは、この3号制度はどのように解決をすべきなのでしょうか。そのことについては、2004年時の年金改革でも、議論の的にあがりました。その時は「夫の払った保険料を、夫婦で支払ったものとみなす」ということが規定として盛り込まれただけで、抜本的な解決には至りませんでした。これでは、先に指摘をした自営業の専業主婦や、働く女性の不満が解消することはないでしょう。

ではどのような方法があるか、ここでは2つの案をご紹介します。

1つが3号制度を廃止して、専業主婦の妻の方にも国民年金を全額支払ってもらうという案です。保険料の納付に関しては、会社員の夫の厚生年金の徴収と合わせて行えば、未納という問題も起きません。この解決策が最もわかりやすいものではありますが、妻の負担がそのまま増えることで、専業主婦の方々からの批判はまぬがれないでしょう。

2つめの案は、専業主婦を国民年金の免除者と同じ扱いにするというものです。つまり保険料を支払う必要はないのですが、代わりに将来の年金額も通常の半分になるというものです。これは1つめよりは納得感を得やすいものだとは思いますが、それでも将来が不安になることに抗議が起こることは予想に難くはありません。

他にも、パートをしている専業主婦が厚生年金への加入をするという案も上がっているのですが、企業側が負担を拒むために、また当の女性たちが3号制度の寄与を逃したくないという思いから、制度はあってもほぼ形骸化してしまっています。このように、3号問題の解決というのは、決して簡単なことではありません。

 

運用3号問題について

さらに、以前巷で物議を醸したのが、運用3号問題というのがあがっています。これは、夫が会社員ではなくなった、サラリーマンの夫が亡くなった、離婚した、妻自身が年収130万円以上になり扶養から外れた、という際に本来であれば3号から1号へ変更手続きが必要だったにもかかわらず、手続きをしなかったがためにそのまま3号扱いになってしまていたという問題です。この場合は、ルールを適用すれば、1号として保険料を未納にしていることになりますので、低年金または無年金となるはずです。

それにも関わらず、民主党政権は2011年1月から切り替えをしなかった専業主婦たちを、運用3号という形で救済しようとしました。過去2年の保険料を納付すれば、基礎年金を受け取れるというのです。これは正しく切り替えをした専業主婦からすれば、また怒りの原因となることで、結局民主党は撤回をすることとなりました。

この問題は未だに根本的に解決するための法案はまだ成立しておらず、現在の法の範囲内で、対応が勧められています。該当する方には、日本年金機構から「お知らせ」が送付され、3号のままになっていた記録を本来の1号に記録訂正する作業が行われているというのが現在の状況です。今後どうなるかを注視すべき問題であると思います。

お読みいただき、ありがとうございました(^^)当ブログでは、他にも年金に関する社会問題を幅広く取り扱っています。もちろん仕組みや成り立ちを学ぶことも大事ですが、3号問題のように「今」何が起きているかをしることは、年金問題に興味を持つ上で非常に大事なことだと考えています。下記におすすめのリンクを掲載していますので、ぜひともご覧になってみてください。

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